日本地図を頭に描いてください。日本の中心は瀬戸内海です。大分は、大阪と海を挟んで向かい合っています。鉄道が通り、高速道路が延びるほんの数十年前までは、人も物もほとんどが船に頼っていました。瀬戸内海は、長い間海上交通の主役の座を恣にしてきました。
その間、大分は、政治・経済・文化の中心であり続けた畿内と直結していました。九州と中央政権との結節点の役割を果たしてきたのです。
例えば、奈良時代は道鏡の皇位継承を阻んだ宇佐神宮の託宣、鎌倉時代は豊後国が九州で唯一源頼朝の知行国(関東御分国)、江戸時代は幕府の九州支配の拠点であり九州諸藩の参勤交代の中継地等、時の中央政権との関係は濃密でした。
畿内ばかりでなく、瀬戸内各地と結ばれた海の道によって、ヒトとモノが行き交った大分は繁栄していきました。大分が持つ魅力はその中で培われてきたのです。
大分学研究会事務局長
楢本 譲司
大分学豆知識は大分合同新聞の毎週月曜日の朝刊にて連載中です。