大分県には、文字通り国民の宝である国宝として、宇佐神宮本殿や臼杵磨崖仏など4件があります。民の宝とされながら、仏教や八幡信仰の聖域にあたるためか、日々の生活とはやや距離のある存在のようにも思えます。一方で、人々の生活や生業のありように価値を見いだす文化財があります。「重要文化的景観」です。平成25年現在、全国に35件あり、県内には、温泉地としては国内唯一の別府湯けむり景観や小鹿田(日田市)、田染荘(豊後高田市)が指定されており、これはこれで誇らしくあります。しかし文化的景観が今を生きる人々の営みに価値を見いだそうとしたように、誰かに認めてもらわなくとも、宝は私たちが日々営んでいる生活の中に、もっと身近な存在としてありながら、尊さを内包しているように思えるのです。生活の中で身近な宝を見つけることができるなら、それこそがおおいたん宝であり、尊い風景の源なのではないでしょうか?
大分学研究会運営委員 大分大学工学部助教
姫野 由香
大分学豆知識は大分合同新聞の毎週月曜日の朝刊にて連載中です。